ウェブデザイン技能検定が仕事に役に立つか調べてみた
当社の人事評価制度を設計するにあたり、資格が人事評価にどのように組み込めるか、どの程度仕事に役に立つものなのか判断するために、ウェブ制作系唯一の国家資格資格である「ウェブデザイン技能検定」について調べました。
1級から3級までの過去問題を一通り目を通しましたが、HTML5、CSS3、PHP、JQuery、サーバーサイド技術の出題があるので、ウェブサイトを作る知識・能力があるかの判断には使えると思いました。ただ、デザインに関わるコンセプト設計、黄金比などデザインテクニック、色彩に関する出題はないので、デザイン自体を組み上げる力、センスの判断には使えなさそうです。また、以下のようなデザインの仕事には直接関係なさそうな問題もあるので、試験に受かるための勉強をしないといけません。
3次元空間上の点の座標を(x,y,z)としたとき、原点 O(0,0,0)から点 Pまでの距離OPは、次のJavaScriptの計算で求められる。
Math.sqrt(x * x + y * y + z * z)
答えは「YES」(括弧内を選択)
GIF形式は、ISO/IRC 15948 として国際標準化されている。
答えは「YES」(括弧内を選択)
私は十数年ウェブ制作にたずさわっているので、3級はスキップして2級の受験をしてみました。過去問題の内容や受験時の感想も含めて各級の評価をまとめました。「難易度」は主観です。「役に立つ度」はウチの仕事内容と照らし合わせてるので、他所では使えない評価軸かもしれません。「人事評価」は保持していることで対外的な信用アップ、仕事の広がり(官公庁などのウェブサイト構築案件の入札条件に2級以上の保持者を指定されることがあるようです。)とスキルアップ意欲を考慮してます。
3級
- 難易度
- ★☆☆☆☆
- 役に立つ度
- ★☆☆☆☆
- 人事評価
- ★★☆☆☆
過去問題を見るとウェブデザインの専門学校で2年学んだか、1年程実務をこなした人であれば、無勉強でも合格できそうな内容です。ただし、ウェブ制作を生業にしていない人でも、試験を受かるための勉強、対策だけで合格できそうですので、3級を保持していたとしても、実力を測るのは慎重にした方が良いと感じました。
合格率平均:約50%
2級
- 難易度
- ★★☆☆☆
- 役に立つ度
- ★★★☆☆
- 人事評価
- ★★★☆☆
受検資格は3級合格者か2年以上の実務経験者であることなど、ある程度の実力がある人を対象としています。試験内容はウェブ制作に関わる広い範囲の知識が必要な筆記テスト、実践的な実技テストを行いますので、2級保持者は最低限の仕事は出来る実力があると判断しても良さそうです。実技試験の内容は数年変わっていないので、作業内容を覚えて練習すれば簡単に合格できそうですが、私が受検した時は途中退出する人はあまりいなく、試験中になんでだろう、わかんないなと独り言(本当は私語厳禁)を言っている人もいたので、簡単なテストではないのだと思います。
合格率平均:約40%
1級
- 難易度
- ★★★★☆
- 役に立つ度
- ★★★★☆
- 人事評価
- ★★★★★
受検資格は2級合格後2年以上の実務経験者、7年以上の実務経験者であることとなっており、受検資格のハードルはかなり高いです。実務試験の内容を見ると、DBにアクセスしCMSを作る課題があり、これはウェブデザインの領域に必要な知識なのか?と感じました。デザイナー、コーダー、フロントエンジニア、バックエンドエンジニアなどの肩書で分業している職場で、デザイン職だけをしてきた人には厳しい試験内容だと思います。サーバーサイドの知識まで必要な試験内容であれば、資格名はウェブサイト構築技能検定といった方しっくりきます。1級保持者は1人でサイトアップ、サービスインまで持っていける人物、他人に教育出来る知識を持った人物、と判断しても良いと思います。
合格率平均:約13%
1級保持者は受検資格、内容、資格知名度の低さも相まってまだ50数名しかいません。
2級を受検した感想
試験勉強は過去問題を解いて、わからなかったところをネットで調べて知識を増やしていきました。あとはHTML5になって追加されたタグはheader,footer,nav,sectionぐらいし使っていなかったこともあり、HTML5のタグの種類、意味に関して重点的に勉強しました。今回の勉強でより適切にマークアップすることにつながったので受検をして良かったと思います。
過去問題集は以下のテキストを利用しましたが、答えの解説が不要な人は公式サイトから過去問をダウンロードできるので、それを利用すると良いと思います。
試験はパソコンスクールで行われました。受検者は10名ぐらいで男性7:女性3ぐらいの割合、年齢層は30歳から40歳前半ぐらいの方が多く、いかにもデザイナーっぽい人はいませんでした。(私の中のデザイナーのイメージはアゴ髭を蓄えたひと、能町みね子のような個性的なひと。)資格取得の目的は就職時のアピールだったりしますので「ウェブ業界への転職希望者」か「自分の実力確認の為」「資格手当、報奨金の目当て」などの人達が受験してるのではと思います。実務試験のパソコンはWindows7、Adobe CS6で、動作もモッサリしており普段の環境と違うので戸惑うことがありました。事前に作業の時間配分を考えておいた方が良いと思います。合格発表は1カ月後とのことですが、試験翌日の正午ぐらいに学科試験の速報がでていたので自己採点したところ、5つ間違っていました。40門中70%の正解で合格ですので、マークの付け間違いなどの大ポカをやらかして無ければ、合格したと思います。落ちていたら、2級は難しい試験だと評価しようかなと(笑)
追記:3/23 1級に合格しました。難しかった・・・筆記の試験会場に70人ぐらいいたけど、2人しか受からないかったからなー。